グローバルスタンダードって大事【後編】

じょーじのアロハレポート第8弾
グローバルスタンダードって大事【後編】

さて、かくしてホノルルの、るるぶにも地球の歩き方にも絶対に載らない場所で野に放たれたわたし。繰り返すが、みな様のハワイのイメージを壊さない為に画像はあちこち自主規制中。ガレージから今回、お目当てというか唯一のお食事処まで徒歩5－6分といったところなのだが、とにかく道のりが険しい。

カリヒの歩道にはホームレスがいっぱい。多くはおクスリでキメキメ状態。歩道の行く手を阻むように寝ている人。ふらふらとはだしで歩いている人。天と語るトランス状態とおぼしきひと。用を足して、それを素手でつかみ、車道を走る車に向かって、振りかぶりながら助走をつけてレーザービーム！そして電源が切れたかのように倒れ込むひと。安心してください。履いてませんよ。これから飯食いに、、はぁ（ため息）歩道を避けるが、車道は何年も前から穴だらけ。じつはコレもグローバルスタンダード。どこでもこんなもんよ。特にアメリカはね。その穴の工事現場の警備をしているおまわりさんに、さきほどのメジャーリーガーの事は伝える。この国では工事現場に立つのは警備会社ではなく本物の警察官。

ホノルルは警察官が不足しているんだって。こんなことに本職使ってたらそりゃそうだ。
でも、持ち前の幸運でお目当てのお店に生きて到着。

L&L Hawaiian Barbecue!!!
ここハワイにはローカルに人気の地元発のファーストフード店の双璧がある。ひとつはZippy’s（ジッピーズ）。いずれ紹介したいが、とにかく日、米、韓、中ほか、もっと細かく言うと沖縄やベトナム系までを網羅した豊富なメニューにハワイ初心者は圧倒されて、何も頼めないで店を後にすること必至のお店。調べたところ23店舗もあるらしい。人気メニューはチリ。うん、そうだね。ハワイの人、なんでもチリ。ご飯の上にもチリ。そしてこのL&Lも、とにかくそこら中にある。店の数もロケーションもZippy’sどころではない。全米に200店舗以上あるとのこと。ことホノルルでは本当にどこにでもある。アラモアナビーチパークの真ん中の特に何もない所にもぽつんと１軒。ウォルマートの何とも言えないアロマのただようトイレの横にもなぜか１軒。場所悪すぎと思うのだが、実は大盛況で、いつもレジ前はお客さんが途絶えない。なんと日本にもどこかにあるらしい。L&Lはフランチャイズ式。基本メニューはある。でも、店のオーナーの独自メニューを勝手に出していいのだ。関東に多いラーメンショップ方式だね。普通はないと思いがちだけど、他にも結構こういうのある。ＦＣ展開方式のある意味グローバルスタンダードってとこか。

ハワイだけにオーナーは中華系、韓国系、ベトナム系、日系、多岐にわたり、それらのオーナーが自分の自慢の料理をメニューに追加している。なので、店によって独自メニューがそれぞれのオーナーのソウルフードに偏っている。これを目当てに行きつけのL&Lと、そうではないL&Lが決まると言っても過言ではない。例を挙げると、友達の実家がL&LのフランチャイズをBig Island （ビッグ・アイランド）の南の方、Pahoa（パホア）の森の中のハイウェイ沿いで経営していた。ここは標準のメニューだけを頑なに提供し続けていた。でも、とにかく場所が最悪なので、万年閑古鳥。店主の日課と言えばお店に鎮座する、中国から買ってきたという観音様に手を合わせるくらいの経営状態だった。そんなある日、キラウェア火山の溶岩が一気にあふれ出し、事もあろうに店に向かってものすごい勢いで流れて来た。万事休すと観音様に祈るしかなかったオーナーの願いがなんと見事に通じ、溶岩は店の１００ｍほど手前で進路を急変。店のすぐ東側のハイウェイを横断してそこに見事な溶岩の川を形成した。それを取材にマスコミが押しかけ、世界から観光客が押しかけ、さらに復興事業の作業員が来はじめて、その近辺で唯一のお食事処だった彼の店では「神風キタコレ！赤字止またぁぁっ！」とヲタクの如く喜んでいたのもつかの間。観音様の力が強すぎた。なんとご丁寧に噴火をも止めてしまった。すると溶岩の流れは止まり冷えてカッチンカッチンに固まった。世界最強の米軍と同じくらい世界最強の観音様。家の前の道路は１００m先で寸断。少なかった顧客の半分はビッグアイランドを反時計回りで一周しないと来店できなくなった。肝心の復興は、予算にあえいでいた州が「まぁ、スタンダードのメニューしかないL&Lしかない地域？じゃ他のどのL&Lにも同じメニューあるからいいよね？」という理由で工事を断念された。結果、閑古鳥に磨きがかかり、ついに閉店に追い込まれてしまった。

そのくらいオリジナルメニューは大事。
だって今日来た店のメニューはこんな感じ。

お分かりだろうか。何とも言えない違和感。黄色いところに書いてあるスタンダードメニュー、小さいし細かいし、見えない。

一方でレジ回りの視線の行くいたるところに書いてある手書きの独自メニューの推しが強い。

レジ前に立つとペンで書かれた独自メニューしか読めないくらい。今日は長丁場だ。今朝は急いでいて何も食べていない。ガッツリ系がいい。でも中華は今日はパス。そうだ、パスタだ。入口にこんなん貼ってありました。色褪せてるからToday’s Specialじゃなく通年スペシャルなのは間違いない。

こ　れ　だ！
チリスパゲティとガーリックブレッドにKFC添え。KFCはケンタッキーじゃないよ。ハワイのKFCはKorean Fried Chicken味は多岐にわたるが、この場合は店任せ。お値段$9.50

注文してテーブルに座って待つ事5分。10分。15分。
オイオイおかしくねぇか？後に頼んだ人もう受け取って結構食べちゃってる人とかいるよ？ふと顔をあげると、オーダー取ったおばちゃんと目が合った。光の速さで下向き加減になるおばちゃん（中二か？）厨房に走ったと思ったら光の速さで戻ってきた。なにか作っているご主人と思しき人になにか言っていたが、東南アジア系とおぼしき言葉。ちょっと怒ってる。キレてはいない。すると、

“Thank you for waiting! Chili Spaghetti! （お待ちどうさま！チリスパゲティ！）”

やっとお声が掛かった。席から立ち上がり、レジに近づくと一人の男がササっとパス。（？）そして、できあがったスチロールのボックスに手を伸ばしかけると、店のおばちゃん。「＃＠＄＠！＄＾＾＆＊I&%^&%$！！！！！！」

奥から飛び出しながら何かを叫んでいる。店の外にそそくさと逃げる男。そう、ホームレス。ちゃっかり横取りして逃げようという魂胆だったようだ。あやうく持っていかれそうになったチリスパゲッティ。あぶないあぶない。シドニーでもこんなんいたよなたしか。。どこの世界でも油断大敵。てなわけで、ようやくご対面。

ビジュアルOK。悪くない。具沢山でびっくり。「いただきまーす！」フォークでいこうとぷっすり刺すと違和感。。やわらかい、、麺をすくおうとする。ほぼフォークの形で持ち上がって来て、麺がぶらさがる抵抗感は一切ない。あのね、感覚はコレ！

この上のクリームの所を横から上にすくった感じ。ふわっと。そのくらいやわらかい。チリソースを和えて口に運ぶとマイガッ！甘い、、そして襲ってくるむせかえるようなすっぱいにおい。この味、、酢豚？。目をつぶるともはや何を食べているのかわからない。いや、目を開けているとビジュアルと味の相違でアタマが混乱する。そうだ、思い出した。台北で台北101の近くのわりといいイタリアンに行った事がある。そこでこういうソースのパスタ食べた。アジアスタンダードなのか？ともかくこの麺のやわらかさはアルデンテというイタリアと日本でしか聞いたことない言葉からは遠く離れている。そしてむせかえる様な酢のアロマ。もちろんあんかけ状だ。アツアツで酸味が効いていて、フォークが重さで刺さるふわっとした柔らかさ。パスタの評価で使われる言葉がどこからも出てこない。ガ、ガーリックブレッド、、、助けを求める。ところが、「ふにゃふにゃのしみしみやないかいっ！」出来上がってから蓋閉じて放置してたね。時間を掛けて蒸されたガーリックブレッド。残念だ。

ダメだった。4口でギブアップ。たった４口でアイスティひと缶のみ干したよ。お値段$9.50もう円換算はしない事に決めてしばらくたつ。円で生活していない以上、むなしくなるばかりだから。で、蓋閉じて店を出たら、さっきのホームレスが寝っ転がっていた。「4口だけ食べたけどいる？」と聞いたら手を延ばしてきたので渡してその場を離れた。数歩歩いて背後から聞こえたひとことに振りかえる。

“No fried chicken… （フライドチキンないやん、、）”とだけつぶやきそのまま横になってしまった。
入れ忘れてるっ！なかったもん！やられたー！

マクドナルドでさえ正しく注文通りの品が出てくる確率は50%程度。これはグローバルスタンダードかどうかわからないが、少なくともハワイではそんなもん。くっそー揚げ物気になってきた。また行かなきゃ。でも揚げ物こわいなー！

あ、で、クルマは無事に治って、さっさと仕事戻りました。。
明日はなに食べようかな。
アロハ。

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