1本の電話から縁が続く、不動産売却と社長てるよの応対力

突然私に一本の電話が女性から入りました。「あのぅ。物件を売却するかどうかもわからず、電話しています。お話だけでも良いですか?まだ何も決めていないし、急いで決めたくないので。」私は「もちろんです、一度お会いしましょう」と電話を切りました。

 

その数日後、当社にお越しくださったのはとても、素敵なSご夫婦。しばらく経ってから分かりましたが、ご主人様は歯科医師、奥様は会社経営社長。冗談が好きなお二方で、夫婦漫才のように笑いながら楽しく気さくになぜハワイが好きなのかお話しくださいました。40年以上前からハワイに来ていて、初めて空港に降りたときのプルメリアの香りを今でも覚えていること、ご主人様は、「当時あまり税関もうるさく無い時に、お土産にハワイから小鳥のヒナや、ハワイの熱帯魚を日本に持って帰ったよ、ほぼ水の費用だったけどね」なんて、本当面白い経験話を “ワッハッハ!” と笑いながら話してくださいました。

 

所有物件はワイキキバニアンでした。35年前はハワイも大人気で、ホテルの予約が取りずらく、子供達とも良くハワイに来ていたので、思い切って購入したそうです。「当時のエージェントはカナダ人で全然わからないうちに買えちゃったわ」と購入当時のお話をしてくださいました。

 

近年のマーケットは、バニヤンは立地もよく、ショートレントも可能なため他の物件との差別化もできるため人気で、実は価格が上がっていて、売り時でした。

そんなお話をさらっとした後、「まだ、本当に売るかどうかも迷ってるんです、お金はいいんです、為替でも、売却益でも儲けたいとは思わないのです」とおっしゃるので、私は「Sさんの売りたいと思った時でいいと思いますよ、それがタイミングですから、その時になったら教えてくださいね」と伝えました。

 

そして、その後英語が本当に苦手で、さっぱりわからず、英語の書類を見るだけで目まいがしてしまうのだと数枚の銀行書類を見せてくれました。ハワイに来てから、カードも使えなくて困っていると言うので、時間も丁度あったので、銀行へお連れすることにしました。確かに、この銀行には日本語のできる人がいませんでした。私が通訳に入り、カードを使えるようにしてもらって、残金も確認しました。アクティベイトをしていなかったのが簡単な理由でした。そして、その銀行の前で私たちは別れました。

 

数日が経ち、連絡が入りました。銀行にお連れしてカードをアクティベイトしたことへのお礼と、物件を売却する意向をお伝えいただきました。「リスティング価格も何もかもすべてお任せです。それに急がないので、ゆっりでいいわよ」と奥様から連絡が入りました。

 

私は、急がないのであればと強気の価格でマーケットに出しました。その瞬間から、どんどんショーイングリクエストが入り、ついにはオークション状態で、MORE THAN ASKING PRICEになりました。それで、高値がついてしまったので、その時点でオファーを受けることになりました。奥様も、「びっくりね、急がなくてもよかったのに、ここまで高値がついてしまったら、売るしかないわね」と。

 

購入は $160,000 1988年2月 $1=128円
売却は $700,000 2023年7月 $1=145円

おかげさまで、約35年所有、ホテル管理下で家賃収入、売却益、為替益が出る良い取引でした。

 

途中2009年に土地を購入したのが良い選択でした。最初は投資ではなくて、使い切る目的だから、土地は買わなくてもいいのではと思っていたそうですが、結果$92,500 $1=89円で購入され、借地から土地付きの物件になりました。土地付きのお陰で今回ここまでの高値がついたとご説明したら、ご主人様、「実はね、ふっと、天の声が聞こえてね、土地を買うことにしたんだよ、わっはっは~」と、ケラケラと笑いながら当時の急な判断のお話をしてくださいましとた。

 

そして、売却も問題なくスムーズに進み、売上金は例の日本人のいない銀行に入金しました。すると、この銀行口座を解約して、私がお勧めする銀行口座に変更したいこと。さらに夫婦それぞれ別々の口座にしたいと依頼されました。日本の税理士から、日本の確定申告時に物件の名義は、夫婦の共同名義、売上金を入れた銀行も共同名義だが、日本では、この共同名義がないので、米国の税務に慣れていない日本の税理士が銀行口座をそれぞれ分けて欲しいということでした。私はまた通訳として、また、前の銀行へお連れし、アポもなく不安そうだったSご夫妻でしたが、窓口で解約50万ドル以上の残金を、キャッシャーズチェック(銀行保証付き小切手)を2枚、それぞれ25万ドルずつにしてもらいました。たった5分で終わりました。お二人とも日本では、解約がそんなに簡単ではないのでびっくりされていました。私は「アメリカは去るもの追わずなんでしょうね。」と言い、3人で笑い、イタリアンランチで一息つきました。

 

その後、高額小切手をもって、新銀行へ行き、私の知り合いの日本人の担当を紹介し、日本語で、お二人それぞれの口座を無事に開設できました。口座開設は大変で、約2時間はかかりました。「このために今回日本からわざわざ来たのよ、本当にほっとしたわ」と奥様が肩をなでおろし、その夜3人でお寿司を食べながら、感慨深げに「本当不思議ね」と。そして、ストーリーが続きました。

 

実はこの物件は当初、息子さんのために購入したそうです。その息子さんが、ある日のお正月に急死してしまったそうです。ハワイでの息子さんとの懐かしい思い出の詰まっていたお部屋だったとのことが、わかりました。物件と共に処分依頼された倉庫の中は、その息子さんが幼くハワイに来て、その後の成長過程のもので、思い出が詰まっていました。私は処分前に、写真を撮り、本当に処分してもいいのか日本のSご夫妻に何度も確認したのは、その時、Sご夫妻の覚悟のようなものを感じ、何か大切なものを、S様ご夫妻が手放すような気がしたからです。

 

「息子も、天国で羽ばたいてくれているわ、これで私たちもすっきりしました」と涙ぐんで、お話してくださいました。「本当てるよさんとのご縁も不思議ね。私はたいてい、日本でも、一社や一人にお願いする前に、いろいろ下調べをしたり、比べたりするの、今回はてるよさんに電話して、それですっかりお任せになってしまって、こんなことって今までないのに、本当ご縁に感謝です。ありがとうございます。」と嬉しいお言葉をいただきました。お寿司カウンターで運命とご縁につくづく感謝をしたひとときでした。

 

Sご夫妻は、もう高齢だしハワイには来れないと言います。ハワイと日本の7-8時間のフライトが寝るには短く、寝ないには長く一番疲れるそうです。今回私がホテルをおさえるお手伝い(特にアーリーチェックイン)をした甲斐があり、「またハワイに来るときは、ホテルの方も、銀行も手伝ってね。てるよさんお願いね」と言われ、新しい家族が増えた気分になり、とても嬉しかったです。

 

売却したらさよなら!売却後のことは知りません!というエージェントではなく、ご縁を大切に、売却後のお付き合いも大切にしていく姿勢は変わらない、自分のスタイルで行こうと改めて強く感じました。

 

最後の摩訶不思議!先日、無事に帰国された奥様から電話が入り「てるよさん!今税金の関係で売却資料の整理しているんだけど、売却完了がね、なんと息子の誕生日だったの!ほんとぉ、もうびっくり!」と。どこかで、だれかが、ちゃんと見てくれてる、そんなパワーを信じずにはいられない、お取引でした。

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