ウォークインから始まる不思議なワイキキでの不動産取引

ルイス&ラリーとの不思議なご縁

当社の引き戸がガラッと、大きな音を立てて開いたかと思うと「ヘェロ~っ!!!」と威勢のいい声で、髭男爵の白人の大柄な男性が立っていました。アメリカに来て、主人のお陰で大男(笑)の白人社会にも慣れましたので、この手の方が来ても、全然動じなくなりました。

 

ご用件は?と日本語訛りの英語で伺うと物件を売りたいのだと東海岸訛りの英語で話します。どこの物件なのかを聞き、私はパソコンに向かい、淡々とTMKというデータベースと、ホノルル不動産協会の最近のマーケットを調べました。TMKとはTax Map Keyといい、各ユニットが番号付けされ、固定資産税額、評価額、売買履歴や名義人などが登録されているデータです。早速、お名前を伺うと「ラリー○○だよ」と大声でお答えいただきましたが、彼の名前はこのTMKの名義にありませんでした。「ラリーさん、残念だけどあなたの名前が名義にないので、売却できないわ」と私はお断りしました。名義人はパートナーだというので、「では、彼を連れてきてからの話をしましょう」と私も冷静に言うと、ものの10分で、彼はもう一人の大柄な白人男性を連れて戻ってきました。

 

「これが俺のパートナーのルイスさ!」。確かにTMKをみると、彼の名前が名義人となっていました。物件を売却したいのかを確認すると、ラリーとは正反対のか細い声で「そうぅ」と言うので、私は半信半疑で、身分証明を見て確認しました。名義人でもなく、権限もないラリーが「この物件を売却して、東海岸へ戻るのさ!もう物件も見つけてるから、○○日までここにいて、あとはカギを渡してハワイを離れるから、よろしく!テリーィ!」と言ってきますが、「あなたには売却の権利がなくて、ルイスにだけが権限があるのよ」と伝えると、未だ静かにニコニコだけしているルイスの横で、ラリーは「I~Know~Teriっ! わかってるよ!」と。

 

とりあえず、そのまま部屋を見に行きました。男性二人のお部屋ということもあり、ある程度の警戒心を持ち、終始ドアは開けたまま内覧しました。まさにものだらけです。壁にはサムライの絵画がかかり、キャビネットにはハードリカーが陳列。そして収納が広いのを自慢げに見せてくれます。この二人は素面なのだろうかと少し不安になりましたが、「先入観や思い込みをダメだ」と自分に言い聞かせ、プロの仕事に徹しました。
部屋を見せてくれたことへのお礼とあと2週間しかないハワイ生活を最後までエンジョイするように伝えました。売却の内覧で、あまりbother(邪魔)したくなかったのと、すぐには売れない、と判断したからです。

 

ハワイを去る前日に、売買契約書をルイスと交わしました。それでも終始ラリーが、ずっとしゃべっていました。最後に彼らに、売却するにはあまりに私物が多いので処分したい旨を告げるとあっさり「O~K~」。絵画など思い出のあるものや折り畳み自転車も私に使っていいよ!と言いますが、その気持ちが嬉しかったです。
最後ハワイを去る日には、体に対して小さく見えるスーツケースを持って挨拶にきてくれました。これでハワイ生活とは離れる彼らのためにも良い値段で売ってあげたいと心底から思いました。

 


その後、業者を入れて私物の処分と大掃除にかかり、すっきりさせました。角部屋で他の部屋とは違う間取りで解放感もあり、床もグレーのタイルで磨けばピカピカになりました。見違えるようになった部屋を早速リスティングしました。
取引中は、ハワイが恋しいのではないかと東海岸まで電話をして、実際に声を聞いて、状況を説明するようにしました。あえて名乗らず「アロ~ハ🌸」というだけで、二人とも大喜びで「ALOHA~~っ、テリーィ」と返してくれ、笑いから始まりました。いつもこの瞬間が、「アロハ」のパワー強く感じました。二人は新生活の話で盛り上がっていました。

 

お陰様でオファーもすぐ入り、満足していただける取引になりました。
この不思議なアロハパワーは後にさらに面白いことへと発展しました。実は当時と同じ状況で、当社の引き戸がガラッと大きな音を立てて開いたかと思うと「ハローッ!ハローツ!!!」と今度は、ローカルの不精ひげの大柄男性でした。こうしてこの物件を当時購入した男性からリスティングをもらっています。ハワイでは本当に不思議なご縁があって面白いものです。

 

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