〇〇で対応。高齢なお客様の売却物件でサンドイッチリース発覚!

ある日、物件オーナーの息子さんから日本から、両親所有の物件を売ってほしいとお電話を頂きました。後ろでお父さまの声が微かに聞こえていますが、電話口には出てくれません。「ではいつものように、マーケットと物件の名義などを調べますので、30分後にお電話いただくか、お電話番号を頂戴できたら、こちらから掛けなおします」と私は、いつもお電話をいただいたら、できるだけ個人情報をどんどん聞いていくことを避けるようにしています。プライバシーを守るためと、自然と信頼関係が生まれお客様から話してもらえるまで、待ちたいからです。

 

丁度30分後に電話が鳴りました。「ご両親お二人名義のことを確認させて頂きました。ご両親ともご健在で、サインする能力はございますか?最後に米国の公証が必要になりますので伺わせて頂いています」と、この質問は必ずします。中には、すでに寝たきりや、入院をされててサインができない、サインする能力がない方も時にはいらっしゃいます。今回は、お母さまが体調がすぐれないようでしたが、ご両親ともサインはできるとのことでした。そして、ハワイにはもう来る元気がないとのこと、日本で米国の公証をすることを、この時点で確認しました。

 

鍵もすぐにハワイまで送っていただき、早速売却の準備に取り掛かりました。
こういう時、当社のように創業50年、そして長年同じ場所に事務所を構えていることが、信頼と実績に繋がり、お客様の方が安心してくださって、日本から速達で大切なカギを安心して郵送していただけます。

 

早速マーケットに出す準備をしている中、ご両親が数年前に、間違いなく1千万円以上出して、土地も購入している物件だと主張されました。ご高齢の方は勘違いされている場合もありますので、ここは冷静に不動産エージェントとして淡々と調べ、エスクローのタイトルサーチをしても、カテゴリーは「借地権」になっていました。
これがいわゆる「サンドイッチリース!」だったのです。

 

サンドイッチリースとは、貸主、借主、そしてその他第三者がいるケースです。過去に貸主が何らかの形で、第三者に一部の借地の権利を売ってしまっているのです。つまり、借地権が二つ存在していることになります。
この方の場合、確かに1千万円で「一つ」の借地権を購入していますが、「もう一つ」が残っていたので、私たちで調べても「借地権物件」扱いだったわけです。
お父さまにその内容を説明しても、なかなか分かってもらえず、息子さんに、できるだけ分かりやすく説明して、お父さまに伝えていただきました。

 

土地付きと、借地の混在している建物は、どうしても借地物件の売却は難しく時間がかかります。今回も、その間に息子さんご夫婦がハワイにお越しになり、最後の思い出の物件でエンジョイしていただきました。そして、なによりも現状をお見せし、実際に電話だけではなく、当社にて、直接私とも顔を合わせることができたお陰で信頼関係が生まれました。

 

ようやく息子さんを介して、ご両親とも納得して売却手続きが進み、そして、公証役場も息子さんに連れて行っていただき、無事に登記ができました。
私が特に心がけたのは、この息子さんに、契約内容、公証内容はすべて、日本語で説明し、納得していただいてから取引をすすめました。そして、この息子さんが決定はすべて物件オーナーであるお父さまに委ねてただけたことがとてもありがたかったです。ちゃんと敬意を示しているのが、離れている私にも伝わりました。

 

最初のお電話で、お父さまがいらっしゃったにも関わらず、挨拶もきちんとできなかった状況を考えると、相当警戒心が強かったのだと感じます。そして、一番信頼できる息子さんにすべて仲介をさせ、安心が欲しかったのだとも思います。高齢のお客様だと、何も見ずサインをする方も多く、そんな状況を逆手にとる人もいないとは言えません。だからこそ、しっかり分かるまで説明して納得してサインしてもらうようにしています。

 

ハワイに物件をお持ちで、ご高齢の方は、大なり小なり、そのような経験をされているのではないでしょうか。今後もそういうケースは増えてくると予想されますし、お客様の思いを配慮し、信頼していただけるまで焦らない、といつも心がけています。

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